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COLUMN任意後見契約の手続き5ステップ 費用・必要書類を行政書士が解説
任意後見契約の手続き5ステップ 費用・必要書類を行政書士が解説
「将来、認知症になったときに備えて、信頼できる人に財産管理を任せておきたい」。
元気なうちに準備しておきたいと考える方から、近年とくに多くいただくご相談です。任意後見契約(にんいこうけんけいやく)は、ご自身が元気なうちに後見人を選び、判断能力が低下したときに備える制度です。ただ、公正証書(こうせいしょうしょ)の作成が必須で、家庭裁判所への申立ても必要となるため、「手続きが難しそう」と感じて立ち止まる方が少なくありません。
しかし、高齢社会と長寿化の結果として認知症発症者は増え続ける中で、日本での認知症対策は欧米と比較し大変遅れている(対策を講じている方の割合が圧倒的に低い)という統計も出ています。
この記事では、任意後見契約の手続きを5つのステップに分けて、相続・終活専門の行政書士が分かりやすく解説します。公正証書の作り方、公証人手数料や監督人選任にかかる費用の目安、誰を後見人にできるか、そして家族信託や成年後見との違いまで、契約を判断するために必要な情報を一通りお伝えします。
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行政書士法人リーガルライフエージェンシーでは、任意後見契約のご相談を初回無料で承っています。土日祝も午前9時〜午後6時まで電話対応。立川本社・小平駅前2拠点、年間500件超の相続・終活相談実績があります。
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任意後見契約とは?手続きの前に押さえる基本
任意後見契約とは、ご自身の判断能力が十分にあるうちに、将来に備えて「誰に」「どのような支援をしてもらうか」をあらかじめ契約で決めておく制度です。判断能力が低下したあとに支援する人を裁判所が選ぶ「法定後見」とは、出発点が大きく異なります。
任意後見の仕組みと3人の登場人物
任意後見は、次の3者によって成り立ちます。
・本人(委任者) … 将来の支援をお願いする方。判断能力が十分なうちに契約を結びます。
・任意後見人(任意後見受任者) … 本人から財産管理や生活・療養に関する手続きを任される方。契約時点では「受任者」と呼ばれ、後見が始まると「任意後見人」になります。
・任意後見監督人(にんいこうけんかんとくにん) … 任意後見人がきちんと職務を行っているかをチェックする方。家庭裁判所が選任します。
ポイントは、契約を結んだだけでは後見はまだ始まらないという点です。本人の判断能力が実際に低下し、家庭裁判所が任意後見監督人を選任して、はじめて任意後見人の仕事がスタートします。この「監督人による第三者チェック」が、任意後見の安心材料のひとつです。
法定後見との違い 自分で後見人を選べる
成年後見制度には、大きく分けて「任意後見」と「法定後見」があります。最大の違いは、後見人を自分で選べるかどうかです。
・任意後見 … 元気なうちに、ご自身が信頼する人を後見人に指定できます。支援してほしい内容も契約で決められます。
・法定後見 … 判断能力が低下したあとに、家庭裁判所が後見人を選びます。誰が選ばれるかは本人や家族が決められません。
「自分の財産や生活のことは、信頼できる人に託したい」という想いを実現できるのが任意後見です。なお、法定後見も含めた成年後見制度は2026年に向けて見直しの議論が進んでいます。制度の最新動向は成年後見制度の改正について解説した記事もあわせてご覧ください。
任意後見でできること・できないこと
任意後見人ができるのは、契約で定めた範囲の「財産管理」と「身上監護(しんじょうかんご)」です。
・できること … 預貯金の管理・払い戻し、不動産の管理、各種契約の締結、介護施設の入所契約、医療・介護サービスの手配、行政手続きなど。
・できないこと … 結婚・離婚・養子縁組などの身分行為、医療行為への同意、本人に代わって遺言を書くこと、日用品の購入など日常的な行為への取消権の行使(法定後見と異なり取消権はありません)。
財産の積極的な運用・承継まで考える場合は家族信託、判断能力低下後すぐに支援が必要な場合は法定後見、というように制度の役割が分かれます。違いは後ほど比較表で整理します。
任意後見契約の手続き5ステップ
任意後見契約は、おおむね次の5つのステップで進みます。契約を結ぶまで(Step1〜4)と、実際に後見を開始するとき(Step5)に分かれている点が特徴です。
Step1:任意後見人を決める
まず、誰に将来の支援をお願いするかを決めます。信頼できるご家族や、行政書士などの専門家を選ぶのが一般的です。後見人には法律上の細かい資格は不要ですが、後述する「なれない人」に該当しないことが必要です。
複数人を選んだり、家族と専門家を組み合わせたりすることもできます。「財産管理は専門家、日々の見守りは家族」といった役割分担も可能です。
Step2:契約内容(任せる範囲)を決める
次に、任意後見人にどこまでの権限を与えるかを決めます。これを「代理権目録(だいりけんもくろく)」として整理します。
・預貯金・有価証券などの財産管理
・不動産の管理・処分
・介護・福祉サービスの利用契約
・医療機関への入院手続き
・役所への各種届出
「何を任せ、何は任せないか」を本人の希望に沿って細かく設計します。ここが任意後見のいちばんの肝であり、専門家が関わる意義の大きい部分です。
Step3:公証役場で公正証書を作成する
任意後見契約は、公正証書で作成することが法律で義務づけられています(任意後見契約に関する法律 第3条)。私的に作成した契約書では効力が認められない点に注意が必要です。
公証役場に契約内容を伝え、公証人が公正証書を作成します。作成当日は、原則として本人と任意後見受任者が公証役場に出向き、本人確認のうえ署名・押印します。本人が病気などで外出が難しい場合は、公証人に出張してもらうことも可能です(別途出張費用がかかります)。
★お早めの準備がおすすめです
任意後見契約は、本人の判断能力が十分にあるうちでなければ結べません。「そろそろ考えたい」と思った時が準備のタイミングです。当法人では多摩地域の公証役場と連携し、契約内容の設計から公証役場との日程調整まで一括でサポートします。
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Step4:法務局へ登記される
公正証書が作成されると、公証人が法務局に対して任意後見契約の登記(とうき)を嘱託(しょくたく)します。この登記により、「いつ・誰と・どのような任意後見契約を結んだか」が公的に記録されます。
登記はご自身で手続きする必要はなく、公証人が代わりに行ってくれます。登記が完了すると「登記事項証明書」を取得でき、任意後見人が職務を行う際の証明になります。
Step5:判断能力が低下したら、任意後見監督人の選任を申し立てる
ここまでで契約は完了ですが、後見はまだ始まりません。実際にご本人の判断能力が低下してきたら、家庭裁判所に任意後見監督人選任の申立てを行います。
申立てができるのは、本人・配偶者・四親等内の親族・任意後見受任者などです。家庭裁判所が任意後見監督人を選任した時点で、任意後見人の職務が正式にスタートします。以降、任意後見人は監督人のチェックを受けながら、契約で定めた支援を行っていきます。
申立てに必要な主な書類は次のとおりです。
・申立書、申立事情説明書、本人情報シート
・医師の診断書
・任意後見契約公正証書の写し
・本人の戸籍謄本・住民票
・任意後見受任者の住民票
・財産目録・収支予定表
書類は多岐にわたります。申立書と申立事情説明書の作成は司法書士または弁護士が行います。当法人は戸籍謄本や住民票の取得、財産目録の作成など行政書士が作成できる書類を対応します。
任意後見契約にかかる費用の内訳
任意後見契約の費用は、「契約を結ぶとき」と「後見を開始するとき」の2段階で発生します。それぞれ分けて見ていきましょう。
① 公正証書の作成費用(契約時)
公証役場で支払う費用の目安は次のとおりです(日本公証人連合会の手数料を基準としています)。
・公正証書作成の基本手数料:1万1,000円
・法務局への登記嘱託手数料:1,400円
・登記に必要な収入印紙代:2,600円
・正本・謄本の作成料:数千円程度
合計で、おおむね2万円前後が公証役場で必要になります。公正証書の枚数や、公証人の出張の有無によって変動します。最新の手数料は日本公証人連合会の公式情報をご確認ください。
② 専門家への報酬(契約時・任意)
契約内容の設計や書類作成を行政書士などの専門家に依頼する場合は、別途報酬がかかります。一般的な相場は10万〜15万円前後です。事務所により、見守り契約や死後事務委任契約とセットにしたパッケージ料金を設けている場合もあります。
ご自身で手続きする場合はこの報酬は不要ですが、代理権の設計や書類作成を誤ると、いざというときに使えない契約になってしまうリスクがあります。
③ 監督人選任の申立て費用(後見開始時)
判断能力低下後に任意後見監督人の選任を申し立てる際の費用です。
・申立手数料(収入印紙):800円
・登記手数料(収入印紙):1,400円
・連絡用の郵便切手・診断書作成料など:数千円程度
ご自身で申し立てる場合は合計1万円前後です。専門家に申立てサポートを依頼する場合は、別途10万〜15万円程度の報酬がかかることがあります。
④ 任意後見人・監督人への報酬(後見開始後)
後見が始まると、継続的な報酬が発生します。
・任意後見人の報酬 … 契約で自由に決められます。家族が後見人なら無報酬とすることも、専門家なら月2万〜6万円程度とすることもあります。
・任意後見監督人の報酬 … 家庭裁判所が決定します。管理する財産額に応じて、月1万〜3万円程度が目安です。
費用早見表
| 費用項目 | タイミング | 目安 |
| 公正証書作成(基本手数料) | 契約時 | 1万1,000円 |
| 登記嘱託手数料・収入印紙 | 契約時 | 約4,000円 |
| 専門家報酬(契約サポート) | 契約時 | 10万~15万円(任意) |
| 監督人選任の申立て費用 | 後見開始時 | 約1万円 |
| 任意後見人の報酬 | 後見開始後・継続 | 月0~6万円(契約で設定) |
| 任意後見監督人の報酬 | 後見開始後・継続 | 月1万~3万円(裁判所が決定) |
※金額は2026年5月時点の一般的な目安です。個別の事情により変わりますので、正確な費用はご相談ください。
誰を任意後見人にできる?選び方のポイント
「誰に任せるか」は、任意後見でもっとも大切な決断です。後見人になれる人・なれない人と、選び方の考え方を整理します。
任意後見人になれる人・なれない人
任意後見人には特別な資格は不要で、ご家族でも専門家でも選べます。ただし、次に該当する方は法律上なることができません(任意後見契約に関する法律 第4条)。
・未成年者
・過去に家庭裁判所で後見人等を解任された人
・破産者で復権していない人
・本人に対して訴訟をした人やその配偶者・直系血族
・不正な行為など、後見人の任務に適さない事由がある人
家族に頼む場合・専門家に頼む場合
家族と専門家、それぞれにメリットがあります。
・家族に頼む場合 … 本人の希望をくみ取りやすく、報酬を抑えられます。一方で、財産管理の負担が重い、親族間で不公平感が出る、といった課題もあります。
・専門家に頼む場合 … 法律や手続きに精通し、中立的に職務を行えます。報酬は発生しますが、家族の負担を軽くできます。
おひとりさまや、ご家族が遠方にお住まいのケースでは、専門家を後見人に選ぶ方が増えています。判断に迷う場合は、おひとりさまの終活でやることをまとめた記事もご参考ください。
任意後見・家族信託・成年後見の違い
任意後見とよく比較されるのが、家族信託と法定後見(成年後見)です。目的が異なるため、ご自身の希望に合った制度を選ぶことが大切です。
| 比較項目 | 任意後見 | 家族信託 | 法定後見 |
| 開始のきっかけ | 判断能力低下後(監督人選任時) | 契約後すぐ | 判断能力低下後 |
| 誰が支援者を選ぶ | 本人 | 本人 | 家庭裁判所 |
| 財産管理 | 〇 | 〇(柔軟に運用可) | 〇 |
| 身上監護(介護契約など) | 〇 | ×(対象外) | 〇 |
| 積極的な資産運用・承継 | △(保全が中心) | 〇 | ×(保全が中心) |
| 監督する人 | 任意後見監督人(裁判所が選任) | 任意(信託監督人を置ける) | 後見監督人(必要時) |
| 必須の手続き | 公正証書+監督人選任申立て | 信託契約(公正証書が一般的) | 家庭裁判所への申立て |
使い分けの考え方
・身上監護を重視する → 介護施設の契約や医療手続きを任せたいなら、任意後見が適しています。
・財産の柔軟な管理・承継を重視する → 不動産の組み替えや収益物件の運用、世代をまたぐ承継を考えるなら、家族信託の費用と流れを解説した記事で詳しく紹介している家族信託が向いています。
・すでに判断能力が低下している → 任意後見は元気なうちにしか契約できないため、この場合は法定後見を利用します。
任意後見と家族信託は、組み合わせて使うこともできます。「財産の運用は家族信託、介護や生活の手続きは任意後見」という形で、両者の強みを生かす設計も可能です。
「見守り契約」「死後事務委任」とのセットで備える
任意後見だけでは、カバーしきれない期間や場面があります。当法人では、ライフステージの「すき間」を埋める3つの契約をセットでご提案しています。これが他事務所との大きな違いです。
契約から後見開始までの「空白期間」を埋める見守り契約
任意後見契約を結んでも、判断能力が低下するまで後見は始まりません。その間、本人の様子を誰も確認しないと、「判断能力が落ちてきたのに監督人選任の申立てが遅れる」という事態が起こりがちです。
そこで有効なのが見守り契約です。定期的に連絡・訪問を行い、健康状態や生活状況を確認します。判断能力の低下にいち早く気づき、適切なタイミングで任意後見へ移行できます。任意後見とセットにすることで、契約から後見開始までが切れ目なくつながります。
亡くなったあとを託す死後事務委任契約
任意後見人の職務は、本人が亡くなった時点で終了します。葬儀・納骨・各種解約などの「亡くなったあとの手続き」は、任意後見ではカバーできません。
ここを補うのが死後事務委任契約です。とくにおひとりさまの場合、亡くなったあとの手続きを託せる人をあらかじめ決めておくと安心です。詳しくは死後事務委任契約の費用と流れを解説した記事でご紹介しています。
「見守り+任意後見+死後事務」のフルパッケージ
当法人では、「見守り契約」「任意後見契約」「死後事務委任契約」を組み合わせ、生前から亡くなったあとまで切れ目なく支える体制を整えています。身元保証が必要な方にはおひとりさまの身元保証についての記事もあわせてご案内しています。31名・3拠点の法人体制だからこそ、担当者が変わっても継続的に対応できる点が強みです。
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任意後見契約の手続きでよくある疑問(FAQ)
Q1. 任意後見契約を結ぶと、すぐに財産管理が始まりますか?
いいえ。契約を結んだだけでは後見は始まりません。本人の判断能力が低下し、家庭裁判所が任意後見監督人を選任してはじめて、任意後見人の職務がスタートします。
Q2. 軽い物忘れが出てきましたが、まだ契約できますか?
任意後見契約は、契約の内容を理解できる判断能力があるうちでなければ結べません。軽度の段階であれば契約できる場合もありますが、判断は慎重に行う必要があります。お早めに専門家へご相談ください。
Q3. 家族を任意後見人にすると、報酬はかかりますか?
任意後見人の報酬は契約で自由に決められます。家族が後見人になる場合、無報酬とすることも可能です。ただし、後見開始後は家庭裁判所が選ぶ任意後見監督人への報酬(月1万〜3万円程度)が別途発生します。
Q4. 一度結んだ任意後見契約は、あとから変更・解除できますか?
はい。後見が始まる前であれば、本人と受任者の合意により、公証役場で変更や解除ができます。後見開始後の解除には、正当な事由と家庭裁判所の許可が必要です。
Q5. 任意後見人が、財産を勝手に使ってしまう心配はありませんか?
任意後見では、家庭裁判所が選ぶ任意後見監督人が後見人の職務をチェックします。後見人は定期的に監督人へ報告する義務があり、第三者の目が入る仕組みになっています。
Q6. 任意後見と家族信託は、どちらを選べばよいですか?
介護や医療など生活に関する手続き(身上監護)を重視するなら任意後見、財産の柔軟な管理・運用・承継を重視するなら家族信託が向いています。両方を組み合わせることもできます。ご希望をうかがって最適な設計をご提案します。★相続で揉めてしまうケースが多発しています。関係性が少しでも微妙なご家族は家族信託よりも任意後見の方がおすすめです。
Q7. 手続きはすべて自分で行えますか?
ご自身で進めることも可能です。ただし、代理権の設計や公正証書の文案、申立書類の準備には専門知識が必要です。いざというときに使えない契約にならないよう、専門家への相談をおすすめします。
まとめ 将来に備える任意後見契約は専門家とともに
任意後見契約は、元気なうちにご自身で後見人を選び、将来の安心を準備できる制度です。
手続きは「①後見人を決める→②契約内容を決める→③公正証書を作成→④法務局へ登記→⑤判断能力低下後に監督人選任を申立て」の5ステップで進みます。
費用は公証役場で2万円前後、専門家に依頼する場合は10万〜15万円前後が目安です。
任意後見だけでなく、見守り契約・死後事務委任契約と組み合わせることで、生前から亡くなったあとまで切れ目のない備えが実現します。「何から始めればよいか分からない」という段階でも、まずはお気軽にご相談ください。
行政書士法人リーガルライフエージェンシーでは、終活・生前対策を担当する行政書士が、公証役場と連携しながら契約の設計から手続きまでサポートします。立川本社・小平駅前2拠点、年間500件超の相談実績。初回相談は無料、土日祝も午前9時〜午後6時まで電話対応しています。
次に読む記事として、家族信託の費用と流れ、認知症と相続に備える老老相続の対策もあわせてご覧ください。
相続・終活専門。立川本社・小平駅前2拠点、スタッフ33名体制。年間相続・終活相談500件超。提携の司法書士・税理士・公証人と連携し、家庭裁判所への申立てや登記が必要な場面では司法書士と、税務については税理士と連携をし任意後見・家族信託・死後事務委任をワンストップの窓口でサポートします。
※本記事は2026年5月時点の制度・手数料に基づいて作成しています。費用や手続きは個別の状況により異なります。最新の情報や具体的なご相談は当法人までお問い合わせください。