任意後見制度とは

任意後見制度は後見制度の一つです。法定後見制度と合わせ、認知症等で判断能力が無くなってしまった場合に代わりに判断をする人(後見人)が着任し本人を
経済的損失から救済、保護する制度です。
※成年後見制度には法定後見と任意後見の2種類があります。

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成年後見制度の種類

法定後見
申立人:本人・配偶者・四親等内の親族・検察官・市区町村主首長など
対象者の状態:判断能力が不十分  
法定後見とは、家庭裁判所の決定により成年後見人を選任する制度です。配偶者や相続人等が家庭裁判所に成年後見人の選任を申し立てることで手続きが開始されます。

後見申立てについてはこちらのコラムに詳細が御座います。
※法定後見制度の活用は各地域の社会福祉協議会の権利擁護事業や司法書士へご相談ください。


成年後見の申立て費用 6つの内訳と総額の目安を解説


後見制度の大枠については法改正が進む間近、最新情報の記載をしておりますのでこちらもご確認ください。

成年後見制度改正2026 5つの変更点を行政書士が解説

任意後見
申立人:本人
対象者の状態:判断の能力がある  
任意後見は、今後認知症の発症が不安な方が、元気なうちに自分で後見人を選んで置き、実際に判断能力の低下、喪失となった場合に家庭裁判所に申し立てることで手続きが開始されます。

任意後見についてはこちらのコラムに詳細を記載しております。

任意後見契約の手続き5ステップ 費用・必要書類を行政書士が解説

任意後見制度

任意後見制度は、本人が契約の締結に必要な判断能力を有している間に、将来自己の判断能力が不十分になったときの後見事務の内容を貢献する人(任意後見人)を、自ら事前の契約(公正証書を作成します)によって決めておく制度です。  

任意後見制度では、本人があらかじめ選任していた任意後見人を、家庭裁判所が選任した任意後見監督人を通じて監督するにとどまります。  

簡単な流れとしては、今は元気だけど将来認知症になることに不安を感じている人が、将来を見据えて事前に公証人役場で任意後見契約を結び信頼できる人を任意後見人に指定しておき、認知症だと感じたときに家庭裁判所に申し立てをして任意後見監督人の選任をしてもらいます(任意後見監督人は本人が選んだ任意後見人の仕事をチェックする人です)。  

任意後見契約では、任意後見人を誰にするか、どこまでの後見事務を委任するかについて話し合いで自由に決めることが出来ます。 ※結婚、離婚、養子縁組などの一審専属的な権利については任意後見契約に含めることはできません。
任意後見制度
任意後見制度のメリットとデメリット

任意後見制度のメリットとデメリット

メリット
●本人の判断能力が低下する前に契約をするため、本人が自由に任意後見人を選ぶことが出来る。
●契約内容が登記されるため、任意後見人の地位が公的に証明される
●家庭裁判所で任意後見人が選出されるため、任意後見人の仕事ぶりを公的に司法がチェックしてくれ、本人の生活の安全を公的にチェックしてくれる。

デメリット
●相続手続きや死後の手続きについて委任することができない
●法定後見制度のように、本人がしてしまった行為についての取消権がない
●財産管理委任契約に比べ迅速性に欠ける
任意後見人が必要になる場面

任意後見人が必要になる場面

「元気なうちに自分のことを決めておける」という任意後見制度のメリットによって誰に何を頼むのかを指定できることから、判断能力の低下後も本人はこれまでの生活スタイルを維持していくことが出来ます。

●身寄りのない方の施設入所を検討する場面  
施設入所契約を締結する際には身元保証人が必要になります。身寄りがなく、身元保証人が立てられない場合は身元保証会社との契約や、後見人が付くことを前提とする施設がほとんどです。
任意後見の手続きの流れ

任意後見人となる受任者を決める

任意後見人となるためには資格などは必要ありません。家族や親せき、友人、弁護士司法書士行政書士など専門家の他、法人が受任することもできます。また、複数人が受任することも可能です。 しかし、以下の人々は法律上欠格事由に該当し任意後見人になることが出来ません。
●未成年
●家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人または補助人
●破産者
●行方の知れない者
●本人に対して訴訟をし、またはした者及びその配偶者並びに直系血族
●不正な行為、著しい不行跡その他任意後見人の任務に適しない自由がある者

任意後見人にしてもらいたいことを決める

契約内容
契約内容を考える際は、心身の調子が変わった際に入る施設、通う病院等将来の生活に関する具体的な希望やお金の使い方などを記載したライフプランを作成することが望ましいです。
任意後見人にお願いできること
任意後見人にどのような事務を依頼するかは契約当事者同士の自由な契約によって決まります。任意後見契約で委任することができるのは財産管理にかんする法律行為と介護サービス締結等の療養看護に関する事務や法律行為です。また、法律行為に関する登記申請なども含まれます。食事を作る等の家事手伝いや身の回りの世話などの介護行為は任意後見契約の対象外です。これらをお願いしたい場合には、別途準委任契約を締結し、任意後見契約開始後も終了しない旨を定めておくことが望ましいです。
死後事務(葬儀、納骨、遺品整理など)はお願いできる??
葬儀費用の支払いなど、本人の死後事務は任意後見契約の範囲外となります。葬儀後も一括でお片付けまでお願いしたい場合には、任意後見契約とセットで死後事務委任契約を締結することを推奨しています。たとえば弊所では老人ホーム入居のお手伝いをする際には、身元保証契約、任意後見契約、死後事務委任契約、医療行為についての宣言等を合わせて締結し、本人のサポートを生前から死後まで一括で行えるように対策致します。
任意後見人の報酬
報酬額や支払い方法、支払い時期等は本人と任意後見受任者との間で自由に決められます。法律上では特約が無い限り任意後見人は無報酬となります。そのため、第三者が任意後見人となり報酬が発生する場合には必ず公正証書に報酬についての規定を盛り込無必要があります。  
報酬は任意後見人が第三者である場合には、一般的に5000円~30000円程度が相場となっています。任意後見事務を行う際に必要となった交通費などの経費や、本人に代わって支払う医療費介護サービス利用料等本人のために必ずかかるお金については本人の財産から支払うことが出来ます。
任意後見契約は公正証書で締結(任意後見契約に関する法律)

任意後見受任者、任意後見契約の内容が確定したら、本人と任意後見受任者の双方が本人の最寄りの公証役場にて公正証書を作成します。
(本人が公証役場に出向くことが出来ない場合には公証人に出張してもらうことも可能です)。  
公正証書とは公証役場の公証人が作成する証書です。公正証書によって交わされたのでない任意後見契約は無効となります(任意後見契約に関する契約)。
公正証書を作成するのにかかる公証役場の費用については、基本手数料、登記嘱託手数料、登記所に納付する印紙代その他で約2万円程度、専門家と共に作成する場合には報酬について確認をしておくとよいかと思います。

判断能力が低下したら「任意後見監督人選任の申立て」を実施  認知症の症状がみられるなど、本人の判断能力が低下したら任意後見契約を開始します。任意後見人には家庭裁判所で選任される任意後見監督人がつくため、このタイミングで家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申し立てます。  

申し立てができるのは、本人、配偶者、四親等内の親族、任意後見受任者で、申立先は本人の住所地の家庭裁判所です。本人以外が申し立てを行う場合には本人の同意が必要です。※申立書の作成は司法書士または弁護士が担当します。  
任意後見監督人の報告を通じて間接的に家庭裁判所が任意後見人を監督することにより本人の保護を図ります。  
また、公正証書に本人が希望数任意後見監督人候補者を記載しておくこともできます(必ず選任されるとは限りません)。
 
任意後見監督人に支払う報酬額は家庭裁判所が決定します。また、任意後見監督事務を行うに際し必要となった経費は本人の財産から支払うことが出来ます。報酬額の目安は「管理財産額が5000万円以下の場合には月額1万円~2万円、管理財産額が5000万円を超える場合には月額2万5000円~3万円」です。
(成年後見人等の報酬額の目安、平成25年1月1日東京家庭裁判所 より) 任意後見監督人選任後に、任意後見受任者は任意後見人となります。  

任意後見監督人の審判が確定すると任意後見受任者は任意後見人となり。任意後見契約に基づき職務を行うことになります。

任意後見契約の終了

本人または任意後見人が死亡・破産すると契約が終了します。また、任意後見人が認知症等により被後見人などになったときも任意後見契約は終了となります。  
また、任意後見人に不正行為、著しい不行跡、その他任務に適しない事由がある時は、家庭裁判所は任意後見人を解任することが出来ます。解任請求ができるのは、任意後見監督人、本人、その親族又は検察官です。

●契約内容の変更や中止は?  
契約内容は変更可能です。変更場所により手続きが異なりますが、どの場合でも公正証書によって契約します。  
任意後見契約の解除は、家庭裁判所が任意後見監督人を選任する前後で手続きが異なります。

選任前:本人または任意後見受任者は、公証人の認証によっていつでも契約を解除することが出来ます。

選任後:正当な事由がある場合に限り、本人または任意後見人の申立によって家庭裁判所の許可を得て契約を解除することができます。
任意後見契約の終了
任意後見契約には即効型、将来型、移行型の3類型があります

即効型
即効型とは任意後見契約締結と同時に家庭裁判所に任意後見監督人の選任の申立を行い任意後見をすぐに開始するものです。  
本人が制度や内容について十分に理解できておらず不利益を被る内容になっていたり、任意後見開始後に本人と任意後見人との間でトラブルになったりすることも考えられるため注意が必要です。
将来型
将来型とは本人に判断能力がある時に任意後見契約を締結し、その後本人の判断能力が不十分になったときに任意後見監督人の選任の申立を行い任意後見を開始します。任意後見契約締結から任意後見の開始まで相当な期間が経過することから、任意後見の開始をしないままに本人が死亡することもあります。  
また、任意後見受任者が本人の判断能力の低下に気が付かなかったり、本人が任意後見契約を締結したこと自体を忘れてしまうこともあり得ます。そのため、別途「見守り契約」「財産管理契約」等を締結し任意後見契約の発効まで継続的に支援する仕組みを作ることをお勧めします。
移行型
移行型が、任意後見契約で最も一般的な類型です。  任意後見契約締結と同時に見守り契約(本人の健康状態等を把握するために定期的に訪問して見守る契約)や財産管理契約や死後事務委任契約(死亡後の葬儀、納骨、遺品整理、契約解約等に関する委任契約)等を締結します。  
本人の判断能力がある時点では見守り契約や財産管理契約に基づく支援を行い、本人の判断能力低下度には任意後見による支援を行うため支援の空白期間が無いというメリットがあります。
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