コラム

COLUMN

老老相続とは?5つの問題点と生前対策を行政書士が解説

2026.04.23
相続

老老相続とは?5つの問題点と生前対策を行政書士が解説

スクリーンショット 2026-04-14 165321



「親も80代後半になり、自分も60代。相続のことが気になり始めたけれど、何から手をつければいいのか分からない」

そんなお悩みを抱えていませんか。

近年、高齢の方が高齢の方から財産を受け継ぐ「老老相続」が増えています。相続人の半数以上が60歳を超える時代、認知症や体力の衰えによって手続きが滞るケースは珍しくありません。

現在は80代後半から90代で亡くなる方が一番多く、配偶者も同世代、子どもは現役世代で仕事が忙しく子育ても忙しい。手続きのために1年弱時間を捻出することは簡単ではありません。

また、90代から60代にまとまったお金が移動し、その後「老後のお金が心配だから」とお金が使われず、「お金は必要な世代に丁度いきわたることが無いものだなあ」と多くのご家庭と関わりながら感じています。

 

この記事では、年間500件超の相続相談をお受けしている行政書士法人が、老老相続の問題点と具体的な生前対策を分かりやすく解説します。「遺言」「家族信託」「成年後見」の選び方や、今日から確認できるチェックリストもご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。

 

お急ぎの方は、お電話またはお問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。

042-312-3586

 

■ 老老相続とは|高齢者が高齢者から相続する時代

 

老老相続の意味と背景

 

老老相続(ろうろうそうぞく)とは、被相続人(亡くなった方)も相続人(財産を受け継ぐ方)もともに高齢者である相続のことです。「老老介護」になぞらえて使われるようになった言葉で、法律上の正式な用語ではありませんが、超高齢社会の日本では年々身近な問題となっています。

 

たとえば、90代の親が亡くなり、70代の子どもが相続人になるケースが典型です。相続人自身が高齢であるため、手続きを進める体力・判断力に不安があったり、相続した財産を十分に活用できなかったりする点が問題視されています。

 

相続人の半数が60歳以上という現実

 

日本経済新聞の報道(2024年)によると、2022年時点で相続人のうち60歳以上の割合は52.1%に達しました。つまり、相続人の2人に1人以上が還暦を超えているのです。

 

さらに注目すべきデータがあります。

 

- 50歳代の相続人: 27.0%

- 49歳以下の相続人: 20.6%

- 60代以上が保有する金融資産の割合: 2035年には70.6%に達する見込み(金融庁調査)

 

日本では年間約50兆円もの資産が相続によって移転しています。その多くが80〜90代から60〜70代への移転、つまり「高齢世代から高齢世代への相続」です。この傾向は今後さらに加速すると見られています。

 

■ 老老相続で起きる5つの問題点

 

老老相続が通常の相続と大きく異なるのは、相続人の年齢ゆえに発生するリスクがある点です。具体的には、以下の5つの問題が起こり得ます。

 

1. 認知症で遺産分割協議ができなくなる

 

遺産分割協議(いさんぶんかつきょうぎ)とは、相続人全員で「誰が・どの財産を・どのくらい受け取るか」を話し合って決める手続きです。この協議には、相続人全員の合意が必要です。

 

ところが、相続人のうち1人でも認知症などで判断能力が不十分な状態にあると、有効な合意ができません。結果として、遺産分割協議そのものが進められなくなります。

 

厚生労働省の推計では、2025年時点で65歳以上の高齢者の約5人に1人が認知症になるとされています。老老相続において、認知症リスクは最も深刻な問題の一つです。

 

認知症の相続人がいる場合、家庭裁判所に「成年後見人(せいねんこうけんにん)」の選任を申し立てる必要があります。ただし、後見人の選任には通常2〜4ヶ月かかり、その間は手続きが止まってしまいます。

 

2. 数次相続で手続きが複雑化する

 

数次相続(すうじそうぞく)とは、最初の相続手続きが完了する前に、相続人の一人が亡くなり、新たな相続が発生することです。

 

たとえば、父が亡くなり相続手続きを進めている最中に、高齢の母も亡くなったケースを考えてみましょう。この場合、父の相続と母の相続が重なり、相続人の数が増え、手続きが非常に複雑になります。

 

老老相続では相続人自身が高齢であるため、数次相続が発生するリスクが高まります。遺産分割を後回しにすればするほど、このリスクは大きくなります。

 

3. 高齢の相続人が手続きに動けない

 

相続手続きでは、以下のような作業が必要です。

 

- 金融機関での口座解約・名義変更(窓口に出向く必要がある場合が多い)

- 戸籍謄本の収集(被相続人の出生から死亡まで、複数の自治体から取得)

- 不動産の名義変更に必要な書類の準備

- 各相続人の実印・印鑑証明書の取得

 

高齢の相続人にとって、これらの手続きを自力で行うのは大きな負担です。足腰が弱っている方、遠方にお住まいの方、入院・施設入所中の方は、役所や金融機関に出向くこと自体が困難な場合があります。

 

4. 相続税の特例が使えなくなるリスク

 

相続税には「小規模宅地等の特例(しょうきぼたくちとうのとくれい)」という制度があり、自宅の土地の評価額を最大80%減額できます。ただし、この特例を受けるには一定の要件を満たす必要があります。

 

老老相続の場合、相続人が施設に入所しているなどの理由で「同居」「居住継続」の要件を満たせないケースが生じることがあります。なお、相続税に関する具体的な計算や申告については、提携の税理士にお繋ぎいたしますので、ご安心ください。

 

5. 相続した財産の管理が困難になる

 

70代、80代で相続した不動産や金融資産を、ご自身で長期的に管理し続けるのは容易ではありません。

 

- 相続した実家の維持管理(草刈り・修繕・固定資産税の支払い)

- 金融商品(投資信託・株式等)の運用判断

- 賃貸物件の入居者対応

 

高齢の相続人がこれらの管理を十分にできない場合、空き家化や資産の塩漬けといった問題につながります。

 

これらの問題を未然に防ぐために、元気なうちからの準備が大切です。 「何から始めればいいか分からない」という方も、お気軽にご相談ください。初回相談は無料です。

 

■ 老老相続を防ぐ4つの生前対策

 

老老相続の問題は、生前の準備によってかなりの部分を防ぐことができます。代表的な対策を4つご紹介します。

 

1. 遺言書を作成する

 

最もシンプルで効果的な対策が、遺言書の作成です。

 

遺言書があれば、遺産分割協議を行わずに相続手続きを進められます。つまり、相続人の中に認知症の方がいても、遺言書の内容にしたがって財産を分けることができます。

 

特に老老相続対策としておすすめなのは、公正証書遺言(こうせいしょうしょゆいごん)です。

項目 自筆証書遺言 公正証書遺言
作成方法 全文を自書 公証人に口述して作成
費用目安 保管制度利用で3,900円 財産額に応じて2〜10万円程度
無効リスク 形式不備で無効になるリスクあり 公証人が確認するため低い
認知症対策 判断能力があるうちに作成が必要 同左だが、公証人の確認が加わる分安心

 

遺言書の具体的な書き方や注意点については、「 遺言書の書き方ガイド」で詳しく解説しています。

 

行政書士は遺言書の原案作成をお手伝いできます。公証役場への同行や、証人の手配もサポートいたします。

 

2. 家族信託を活用する

 

家族信託(かぞくしんたく)とは、信頼できる家族に財産の管理・処分を任せる仕組みです。

 

たとえば、80代の親(委託者)が、50代の子(受託者)に自宅不動産の管理を任せる契約を結びます。親が認知症になっても、子が親に代わって不動産の売却や管理を行うことができます。

 

家族信託のメリット

- 認知症になった後も、受託者が財産を管理・処分できる

- 遺言と異なり、「次の次の相続」まで財産の行き先を指定できる(受益者連続型信託)

- 成年後見制度よりも柔軟な財産管理が可能

 

費用目安: 信託契約書の作成・公正証書化で50〜100万円程度(信託財産の規模によって変動)

 

家族信託の設計には法的な専門知識が必要です。当事務所では、提携の司法書士・弁護士と連携して、ご家族に最適な信託プランをご提案いたします。

 

3. 成年後見制度を利用する

 

成年後見制度(せいねんこうけんせいど)とは、認知症や障がいなどで判断能力が不十分な方の財産管理や契約行為を、家庭裁判所が選んだ後見人がサポートする制度です。

 

老老相続との関係では、2つの使い方があります。

 

1)法定後見: すでに判断能力が低下している場合

- 家庭裁判所に後見人の選任を申し立てる

- 後見人が遺産分割協議に参加できる

- 申立てから選任まで2〜4ヶ月程度

 

2)任意後見: まだ判断能力がある段階での備え

- 元気なうちに、将来の後見人をあらかじめ決めておく契約

- 判断能力が低下した時点で、任意後見監督人の選任を申し立てて発効

- 費用目安: 公証人手数料・登記嘱託手数料等で合計2〜3万円程度

 

なお、成年後見制度は2026年に大きな改正が検討されています。終身制の見直しや類型の一本化など、利用しやすい制度への変更が議論されています。詳しくは「 成年後見制度の改正2026年版」をご覧ください。

 

 

4. 生前贈与で財産を移転する

 

生前贈与(せいぜんぞうよ)とは、生きている間に財産を子や孫に渡すことです。老老相続を防ぐ観点では、高齢世代に資産が集中する状態を解消する意味があります。

 

- 暦年贈与: 年間110万円までは贈与税がかからない(基礎控除)

- 相続時精算課税制度: 累計2,500万円まで贈与税を猶予できる(2024年1月〜年110万円の基礎控除が追加)

 

ただし、生前贈与には贈与税や相続税との関係で注意すべき点が多くあります。具体的な金額や方法については、提携の税理士にお繋ぎいたしますので、お気軽にご相談ください。

 

■ 遺言・家族信託・後見制度の選び方

 

「結局、うちの場合はどの対策が合っているの?」という疑問にお答えします。

 

3つの制度の比較表

 

比較項目 遺言書 家族信託 成年後見(任意)
主な目的  死後の財産分配を決める 生前〜死後の財産管理を任せる 判断能力低下時の保護
認知症対策  作成時に判断能力が必要 認知症後も受託者が管理可能 認知症後の財産管理と契約の代理をサポート
費用目安 3,900円〜10万円 50〜100万円 約3万円〜
柔軟性 内容変更は比較的容易 契約内容に沿った管理 裁判所の監督あり
次の世代への対応 一代限り 受益者連続型で対応可能 一代限り

 

ご家族の状況別おすすめ対策

 

ケース1: 親が元気で判断能力に問題がない場合

→ まずは遺言書の作成から始めましょう。費用も抑えられ、手続きもシンプルです。不動産や事業をお持ちの場合は、家族信託の併用も検討をおすすめします。

 

ケース2: 親の物忘れが増えてきた場合

→ 任意後見契約を早めに検討しましょう。あわせて遺言書の作成も進めると安心です。判断能力があるうちでなければ、これらの契約は結べません。

 

ケース3: 親がすでに認知症と診断されている場合

→ 法定後見の申立てが必要になります。家庭裁判所への申立書類の作成と提出は提携の司法書士が担当しますので、当事務所が窓口としてお繋ぎいたします。

 

どの対策が最適かは、ご家族の状況・資産の内容・ご希望によって異なります。行政書士として、まずは全体像を整理し、必要に応じて提携の司法書士・税理士・弁護士にお繋ぎする「手続きのコーディネーター」としてお手伝いいたします。

 

■ 老老相続が発生したときの手続きと注意点

 

生前対策が間に合わず、実際に老老相続が発生した場合の対応についても解説します。

 

高齢相続人がいる場合の遺産分割の進め方

 

相続人の中に高齢の方がいる場合、以下の点に配慮しながら手続きを進める必要があります。

 

1. 判断能力の確認: 遺産分割協議に参加できる判断能力があるかを確認します。不安がある場合は、医師の診断を受けることも検討しましょう

2. 手続きの代行: 役所や金融機関への届出、戸籍の収集など、高齢者に代わって行政書士が手続きを代行できます

3. 丁寧な説明と合意形成: 高齢の相続人にも分かりやすい言葉で手続きの内容を説明し、全員が納得した上で協議を進めます

 

相続手続きの全体的な流れについては、「相続手続きの流れガイド」もあわせてご覧ください。

 

数次相続が発生した場合の対応

 

数次相続が発生した場合、手続き上のポイントは以下の通りです。

 

- 遺産分割協議書: 最初の被相続人と二次相続の被相続人、両方について一つの協議書にまとめることも可能です

- 相続人の確定: 数次相続では相続人の数が増えるため、漏れなく確定する必要があります。戸籍の収集範囲も広がります

- 相続登記: 中間省略登記が認められるケースもあります。弊社では中間省略登記の可否を含め登記の判断と申請は提携の司法書士が対応いたします

 

専門家を活用して手続き負担を減らす方法

 

老老相続の手続きは、通常の相続よりも時間と手間がかかる傾向があります。行政書士に依頼すると、以下のような手続きを一括でお任せいただけます。

 

- 戸籍謄本の収集(被相続人の出生から死亡まで)

- 法定相続情報一覧図の作成

- 相続財産の調査(金融機関への照会、不動産の確認)

- 遺産分割協議書の作成

- 金融機関の相続手続き(口座解約・名義変更)

 

当事務所では、お客様担当(プロジェクトマネジャー)が案件を一元管理し、面談・事務・連絡をチームで分業しています。

また、相続経験の豊富な司法書士、税理士と提携し、相続手続の全般に対応できるよう万全の体制を整えています。

高齢で外出が難しい方には出張での対応も行っておりますので、ご安心ください。

 

■ 老老相続の生前対策チェックリスト

 

今すぐ確認したい10項目

 

ご家族の状況を確認するために、以下のチェックリストをお使いください。チェックがつかない項目があれば、早めの対策をおすすめします。

 

□ 親(被相続人になる方)の遺言書が作成済みである

□ 相続人が誰になるか、家族全員が把握している

□ 親の主な財産(不動産・預貯金・有価証券)の概要を把握している

□ 認知症になった場合の備え(任意後見契約・家族信託)を検討したことがある

□ 相続人同士で遺産の分け方について話し合ったことがある

□ 不動産の名義が最新の状態に更新されている(相続登記の義務化に対応済み)

□ 親の銀行口座・保険の一覧を家族が把握している

□ 実家が空き家になった場合の対応を考えている

□ 相続手続きを依頼できる専門家(行政書士等)の目星がついている

□ 家族で「もしものとき」の話ができる関係性がある

 

チェックが3つ以下の方は、生前対策が十分でない可能性があります。まずは専門家に相談して、全体像を整理することから始めてみましょう。

 

 

■ 老老相続でよくある質問

 

Q1. 認知症の親がいても相続手続きはできますか?

 

遺言書がある場合は、遺言の内容にしたがって手続きを進められます。遺言書がなく遺産分割協議が必要な場合は、家庭裁判所に成年後見人の選任を申し立てる必要があります。後見人が選任されるまでの期間は2〜4ヶ月程度です。早めの対応が重要です。

 

Q2. 数次相続が起きた場合、手続きはどうなりますか?

 

最初の相続の遺産分割が完了する前に次の相続が発生すると、相続人の範囲が広がり、手続きが複雑になります。ただし、一つの遺産分割協議書でまとめて対応できるケースもあります。戸籍の収集範囲が広がるため、専門家に依頼されることをおすすめします。

 

Q3. 生前対策はいつから始めるべきですか?

 

親御さんが元気なうちに始めるのが最も効果的です。 遺言書の作成も、任意後見契約も、家族信託も、すべて本人の判断能力があるうちにしか行えません。「まだ早い」と思われるかもしれませんが、70代のうちに準備を始めることをおすすめします。

 

Q4. 行政書士に老老相続の相談はできますか?

 

はい。行政書士は、遺言書の原案作成、遺産分割協議書の作成、戸籍の収集、財産調査など、相続手続きの幅広い範囲をサポートできます。不動産の登記が必要な場合は提携の司法書士に、相続税の申告が必要な場合は提携の税理士に、相続人間で争いがある場合は弁護士にお繋ぎいたします。当事務所は相続・終活専門の行政書士法人として、手続き全体のコーディネートを得意としています。

 

■ まとめ 老老相続は「元気なうちの準備」がすべて

 

老老相続の問題は、年々深刻化しています。この記事のポイントを振り返ります。

 

- 老老相続とは: 被相続人も相続人も高齢者である相続。相続人の52.1%が60歳以上

- 5つの問題点: 認知症による手続き停止、数次相続の複雑化、手続き負担、税制特例のリスク、財産管理の困難

- 4つの生前対策: 遺言書の作成、家族信託、成年後見制度、生前贈与

- 最も大切なこと: 親御さんが元気なうちに、家族で話し合い、専門家と一緒に準備を進めること

 

当事務所は、立川・小平に3拠点を構え、33名のスタッフが相続・終活のご相談にお応えしています。地域包括ケアシステムにも参加し、ケアマネジャーや介護施設のスタッフ、地域の葬儀社とも日常的に連携しています。老老相続では、介護・福祉の現場と連携できる体制が手続きをスムーズに進めるうえで大きな力になります。高齢のお客様に寄り添ったサポートをご提供しています。

 

「まず何をすればいいか分からない」という方も、お気軽にご相談ください。

初回相談は無料です。土日祝日も午前9時〜午後6時まで対応しています。ご来所が難しい場合は、ご自宅や施設への出張も承ります。

 

立川・小平で相続のご相談なら、[リーガルライフエージェンシー立川事務所]へ

 

関連記事:

- [相続手続きの流れを分かりやすく解説]

- [成年後見制度の改正2026年版何が変わるのか]