コラム
COLUMN遺言書の書き方ガイド 種類別の手順と費用を行政書士が解説
遺言書の書き方ガイド 種類別の手順と費用を行政書士が解説
「遺言書を書いておきたいけれど、何から始めればいいか分からない」「せっかく書いても無効になったらどうしよう」。
そんな不安を抱えている方は少なくありません。
また、「うちは財産が多くないから」と未だに遺言を検討しない方も多くいらっしゃいます。
遺言書は正しい方式で作成すれば、ご自身の想いを確実に届けることができます。また、大切な家族や財産を残したい相手が行う手続きを大変簡略化し、負担を大いに減らすことができます。
この記事では、年間500件超の相続相談を受ける行政書士法人の実務経験をもとに、遺言書の種類別の書き方・費用・注意点を分かりやすく解説します。2026年に閣議決定された「デジタル遺言」の最新情報もあわせてご紹介します。
お急ぎの方や「自分に合った遺言書の種類を知りたい」という方は、初回相談無料の当事務所までお気軽にお問い合わせください。土日祝日も9時〜18時で対応しております。
TEL:042-312-3586
■ 遺言書の種類と特徴 3つの方式を比較
遺言書には大きく分けて3つの方式があります。それぞれの特徴を理解し、ご自身に合った方法を選ぶことが大切です。
自筆証書遺言の特徴
自筆証書遺言(じひつしょうしょゆいごん)は、遺言者本人が全文を手書きで作成する遺言書です。
メリット
・費用がほとんどかからない(紙とペンがあれば作成可能)
・思い立ったときにすぐ書ける
・内容を誰にも知られずに作成できる
デメリット
・法的要件を満たさないと無効になるリスクがある
・紛失・改ざんの恐れがある(法務局保管制度の利用で回避可能)
・開封時に家庭裁判所の検認手続きが必要(法務局保管の場合は不要)
公正証書遺言の特徴
公正証書遺言(こうせいしょうしょゆいごん)は、公証役場で公証人が作成する遺言書です。
メリット
・公証人が作成するため、方式不備で無効になるリスクがほぼない
・原本が公証役場に保管されるため、紛失・改ざんの心配がない
・家庭裁判所の検認手続きが不要
・病気などで字が書けない方でも作成できる
デメリット
・公証人手数料がかかる(財産額に応じて1万6,000円〜)
・証人2名の立会いが必要
・公証役場への訪問が必要(出張対応も可能だが費用が加算)
【2026年最新】保管証書遺言(デジタル遺言)とは
2026年4月3日、パソコンやスマートフォンで遺言書を作成できる「保管証書遺言」(通称:デジタル遺言)の創設を含む民法改正案が閣議決定されました。
保管証書遺言の主なポイント:
・パソコン・スマートフォンで遺言の全文を作成できる(手書き不要)
・マイナンバーカードを用いた電子署名を使用
・法務局に対面またはウェブ会議で口述し、保管を受ける
・自筆証書遺言を含め、押印要件が廃止される見通し
なお、この制度は2026年4月時点ではまだ「改正案」の段階です。国会で可決・成立した場合、2028年度中の施行が見込まれています。現時点で遺言書を作成される方は、現行の自筆証書遺言または公正証書遺言で作成しましょう。
3方式の比較表
| 比較項目 | 自筆証書遺言 | 公正証書遺言 | 保管証書遺言(予定) |
| 作成方法 | 全文手書き | 公証人が作成 | PC・スマホで作成 |
| 費用 | 0円〜(保管制度利用で3,900円) | 1万6,000円〜(2025年10月改定後) | 未定 |
| 証人 | 不要 | 2名必要 | 不要(口述が必要) |
| 検認 | 必要(保管制度利用時は不要) | 不要 | 不要の見込み |
| 無効になるリスク | あり | ほぼなし | 低い見込み |
| 施行状況 | 現行制度 | 現行制度 | 2028年度施行見込み |
「自分にはどの方式が合っているだろう」と迷われた方は、お気軽にご相談ください。ご状況に合わせて最適な方式をご案内いたします。初回相談は無料です。
■ 自筆証書遺言の書き方 法的に有効な5つの要件
自筆証書遺言は費用をかけずに作成できる反面、法的要件を1つでも欠くと無効になります。以下の5つの要件を必ず確認しましょう。
5つの要件チェックリスト
自筆証書遺言が法的に有効であるためには、民法第968条に定められた以下の要件を全て満たす必要があります。
・要件1: 全文の自書 — 遺言の内容(本文)を遺言者本人が全て手書きすること。パソコンや代筆は無効です。ただし、2019年の法改正により、財産目録についてはパソコンでの作成や通帳のコピー添付が認められています(各ページに署名・押印が必要)
・要件2: 日付の自書 — 作成日を正確に記載すること。「令和8年4月吉日」のような曖昧な日付は無効です。「令和8年4月9日」のように特定できる形で書きましょう
・要件3: 氏名の自書 — 遺言者本人の氏名を手書きすること。戸籍上の氏名を正確に記載するのが望ましいです
・要件4: 押印 — 認印でも有効ですが、実印を使用するのが望ましいです。なお、2026年の民法改正案では押印要件の廃止が盛り込まれていますが、施行前の現時点では押印が必要です
・要件5: 加除・変更の方式 — 書き間違いを訂正する場合は、変更箇所を示し、署名のうえ変更箇所に押印が必要です。訂正方法を誤ると、訂正部分が無効になる場合があります
ケース別の記載例
基本的な記載例(預貯金を相続させる場合)
遺言書
遺言者 山田太郎は、以下のとおり遺言する。
第1条 遺言者は、遺言者名義の下記預貯金を、
妻 山田花子(昭和30年5月10日生)に相続させる。
〇〇銀行 △△支店 普通預金 口座番号1234567
第2条 遺言者は、本遺言の遺言執行者として、
次の者を指定する。
行政書士法人リーガルライフエージェンシー
東京都立川市○○町○丁目○番○号
令和8年4月9日
山田太郎 印
不動産を含む場合のポイント:
不動産を記載する際は、登記簿謄本(登記事項証明書)の記載どおりに正確に転記します。住所ではなく「所在」「地番」「家屋番号」を記載してください。
無効になりやすいパターンと対策
実務上、よく見られる無効・トラブルのパターンは以下のとおりです。
1. 日付が曖昧 — 「4月吉日」「令和8年春」は無効。必ず年月日を特定する
2. パソコンで本文を作成 — 財産目録以外の本文は必ず手書き。全文をWordで作成して印刷したものは無効
3. 夫婦連名で作成 — 遺言書は1人につき1通。夫婦2人分をまとめた遺言書は無効です(民法第975条)
4. 訂正方法の誤り — 二重線で消して書き直しただけでは正式な訂正になりません。訂正が多い場合は書き直すことをおすすめします
5. 相続人の特定が不十分 — 「子どもたちに」ではなく、氏名・生年月日で特定しましょう
法務局の遺言書保管制度 メリットと申請の流れ
自筆証書遺言を法務局(遺言書保管所)に預けることができる制度が、2020年7月から始まっています。自筆証書遺言のデメリットを大きく補える制度ですので、積極的な活用をおすすめします。
保管制度の3つのメリット
1. 検認が不要になる — 通常、自筆証書遺言は相続開始後に家庭裁判所の検認手続き(1〜2ヶ月程度)が必要ですが、法務局に保管した遺言書は検認不要で、すぐに相続手続きに使えます
2. 紛失・改ざんの防止 — 原本は遺言書保管所が50年間保管し、画像データは150年間保管されます
3. 方式の外形的チェック — 保管申請時に法務局の職員が、自筆証書遺言の方式(全文自書・日付・氏名・押印)について外形的な確認を行います。ただし、内容の有効性まで保証するものではありません
申請手続きの流れ
1. 遺言書の作成 — 法務省指定の様式(A4片面・余白の規定あり)で自筆証書遺言を作成
2. 保管所の選択 — 遺言者の住所地・本籍地・所有不動産の所在地を管轄する法務局から選択
3. 予約 — 法務局のオンライン予約システムまたは電話で予約
4. 申請 — 遺言者本人が法務局に出向き、申請書・遺言書・本人確認書類を提出
5. 保管証の受領 — 手数料3,900円を納付し、保管証を受け取る
なお、保管の申請は必ず遺言者本人が行う必要があります。代理人による申請や郵送での申請はできません。
公正証書遺言の作成手順と費用
「確実に有効な遺言書を残したい」という方には、公正証書遺言がおすすめです。実務上、相続手続きがもっともスムーズに進むのがこの方式です。
作成の5ステップ
1. 遺言内容の検討 — 誰に何をどのように相続させるかを決めます。遺留分(いりゅうぶん:法律で保障された最低限の取り分)にも配慮すると、後のトラブル防止になります。遺留分について詳しく知りたい場合は、提携の弁護士にご相談ください
2. 必要書類の準備 — 遺言者の印鑑証明書、戸籍謄本、財産に関する資料(不動産の登記簿謄本、預貯金の通帳コピーなど)を揃えます
3. 公証役場との事前打ち合わせ — 遺言の原案や必要書類をもとに、公証人と内容を調整します。行政書士に依頼すれば、原案作成から公証役場との調整まで代行できます
4. 証人2名の手配 — 公正証書遺言には証人2名の立会いが必要です。相続人やその配偶者は証人になれません。行政書士事務所で証人の手配も可能です
5. 公証役場で作成 — 遺言者が公証人に遺言内容を口述し、公証人が筆記します。内容を確認後、遺言者・証人・公証人が署名・押印して完成です
公証人手数料の目安
公正証書遺言の作成には、財産の価額に応じた手数料がかかります(日本公証人連合会の手数料令に基づく)。
| 財産の価額 | 手数料 |
| 50万円以下 | 3,000円 |
| 50万円超〜100万円以下 | 5,000円 |
| 100万円超〜200万円以下 | 7,000円 |
| 200万円超〜500万円以下 | 13,000円 |
| 500万円超〜1,000万円以下 | 20,000円 |
| 1,000万円超〜3,000万円以下 | 26,000円 |
| 3,000万円超〜5,000万円以下 | 33,000円 |
| 5,000万円超〜1億円以下 | 49,000円 |
| 1億円超〜3億円以下 | 49,000円 + 超過5,000万円ごとに15,000円 |
※ 手数料は相続人ごとに計算し、合算します。さらに、財産の合計額が1億円以下の場合は13,000円が加算されます(遺言加算)。上記は2025年10月改定後の手数料です。
「公正証書遺言を作りたいが、手続きが複雑で不安」という方は、当事務所にお任せください。原案の作成、公証役場との調整、証人の手配まで一括でサポートいたします。
TEL:042-312-3586
■ 付言事項の書き方 家族への想いを届ける
付言事項とは?法的効力はないが重要な理由
付言事項(ふげんじこう)とは、遺言書の末尾に記載する「遺言者からのメッセージ」のことです。法的な効力はありませんが、なぜそのような遺産の分け方にしたのかという理由や、家族への感謝の気持ちを伝えることができます。
付言事項が重要な理由は、相続トラブルの多くが「なぜこの分け方なのか分からない」という不満から生じるためです。分配の理由を遺言者自身の言葉で説明することで、相続人の納得感が高まり、遺産分割協議でのトラブルを防ぐ効果が期待できます。
遺産分割協議書の作成方法について詳しく知りたい方は、遺産分割協議書の書き方ガイドの記事もあわせてご覧ください。
ケース別の付言事項文例3選
文例1: 相続分に差をつける理由を説明する場合
付言事項
長男の一郎には、私の介護を長年にわたり献身的に
支えてくれたことに深く感謝しています。
そのため、一郎に多くの財産を相続させることとしました。
二男の次郎にも、遠方から気にかけてくれたことを
ありがたく思っています。
どうか兄弟仲良く、互いに支え合って暮らしてください。
文例2: 配偶者に全財産を相続させる場合
付言事項
花子には、40年以上にわたり苦楽をともにしてくれた
ことに心から感謝しています。
子どもたちには申し訳ないのですが、
まずは花子の今後の生活を第一に考え、
全財産を花子に相続させることとしました。
子どもたちの相続は、花子のときに改めて
話し合ってもらえればと思います。
文例3: おひとりさまの場合
付言事項
私には相続人がおりませんので、
お世話になった○○団体に財産を遺贈することとしました。
遺言執行者には、日頃から信頼している
行政書士法人リーガルライフエージェンシーを
指定しています。
関係者の皆様にはご迷惑をおかけしますが、
どうぞよろしくお願いいたします。
おひとりさまの終活全般について知りたい方は、おひとりさまの終活でやるべきことの記事で詳しく解説しています。
付言事項で相続トラブルを防ぐ
付言事項を書く際のポイントは次の3つです。
1. 分配の理由を率直に書く — 特に相続分に差がある場合は、理由を明記することで不満を軽減できます
2. 感謝の気持ちを伝える — 相続人全員に対して一言ずつ感謝を述べると、受け取る側の気持ちが和らぎます
3. 特定の相続人を批判しない — 否定的な記述はかえってトラブルの原因になります。前向きな言葉を選びましょう
■遺言執行者の選び方 行政書士に依頼するメリット
遺言執行者の役割とは
遺言執行者(ゆいごんしっこうしゃ)とは、遺言の内容を実現するために必要な手続きを行う人のことです(民法第1012条)。具体的には以下のような業務を担います。
・相続財産の調査・管理
・金融機関での預貯金の解約・払戻し手続き
・不動産の名義変更に必要な書類の準備(登記は提携の司法書士が対応)
・相続人への財産の分配
遺言書で遺言執行者を指定しておくと、相続開始後の手続きがスムーズに進みます。指定がない場合、相続人全員の協力が必要になり、手続きに時間がかかることがあります。
相続手続き全体の流れを把握したい方は、相続手続きの流れ7ステップの記事もあわせてご確認ください。
行政書士法人に依頼する3つのメリット
1. 組織的な対応で確実に執行される — 個人の専門家を指定した場合、その方が先に亡くなったり、廃業したりするリスクがあります。行政書士法人であれば、組織として長期的に遺言の執行を担保できます。当事務所では31名体制で案件を管理しています
2. 相続手続きの実務経験が豊富 — 年間500件超の相続相談実績があり、金融機関や役所との手続きに精通しています。戸籍収集から財産調査、各種届出まで一貫して対応できます
3. 提携士業へのスムーズな連携 — 不動産の相続登記が必要な場合は提携の司法書士に、相続税の申告が必要な場合は提携の税理士にお繋ぎします。ワンストップで手続きが完結します
高齢のご家族がいらっしゃる場合は、遺言書の作成とあわせて老老相続への備えも重要です。
■ 遺言書作成の費用比較
種類別の費用一覧
| 費用項目 | 自筆証書遺言(自分で作成) | 自筆証書遺言(法務局保管あり) | 公正証書遺言 |
| 作成費用 | 0円 | 0円 | 公証人手数料(1万6,000円〜、2025年10月改定) |
| 保管費用 | 0円(自宅保管) | 3,900円 | 0円(公証役場が保管) |
| 検認費用 | 約800円+切手代 | 不要 | 不要 |
| 合計目安 | 約800円 | 3,900円 | 約2万円〜10万円程度 |
専門家に依頼する場合の費用相場
| 依頼先 | 費用相場 | 主なサービス内容 |
| 行政書士 | 5万円〜15万円 | 遺言原案作成、公証役場との調整、証人手配 |
| 司法書士 | 8万円〜15万円 | 遺言原案作成、不動産登記の助言 |
| 弁護士 | 10万円〜30万円 | 遺言原案作成、遺留分対策、法的助言 |
※ 費用は一般的な相場であり、事務所や案件の内容により異なります。
行政書士への依頼は、紛争性がなく「確実な遺言書を作りたい」というケースにおいて、費用対効果の高い選択肢です。遺留分をめぐる対立が予想される場合は、弁護士への相談をおすすめします。
■ まとめ|遺言書は「書く」だけでなく「届ける」まで考える
遺言書の作成で大切なポイントを整理します。
1. 自筆証書遺言は5つの要件を厳守 — 全文自書・日付・氏名・押印・訂正方式。1つでも欠けると無効になります
2. 法務局の保管制度を活用 — 3,900円で紛失・改ざんを防止でき、検認も不要になります
3. 確実性を求めるなら公正証書遺言 — 公証人が作成するため無効リスクがほぼありません
4. 付言事項で想いを伝える — 分配理由や感謝の気持ちを書くことで、トラブル防止につながります
5. 遺言執行者を指定する — 遺言の内容を確実に実現するために、信頼できる専門家を指定しましょう
遺言書は「書いて終わり」ではなく、確実に届くように保管し、内容を実現する体制まで整えて初めて完成です。
行政書士法人リーガルライフエージェンシーでは、遺言書の原案作成から公証役場との調整、遺言執行者への就任まで、一貫してサポートしております。
・初回相談無料
・土日祝日も9時〜18時で対応
・立川・小平の3拠点で対応(出張相談も可能)
「まずは相談だけ」という方も歓迎です。お気軽にお問い合わせください。