はじめに
亡くなった方に配偶者も子も親も兄弟姉妹もいない場合、あるいは相続人全員が相続放棄をした場合、その方の財産はどうなるのでしょうか。この記事では、相続人が不存在の場合の手続きの流れを解説します。
相続人不存在とは
以下のような場合、法定相続人がいない状態(相続人不存在)となります。
- 配偶者がおらず、子・父母・兄弟姉妹のいずれもいない
- 法定相続人にあたる親族全員が相続放棄をした
- 法定相続人全員が相続欠格または廃除されている
相続人不存在の場合の手続きの流れ
1. 相続財産清算人の選任
利害関係人(債権者、受遺者、特別縁故者など)または検察官が家庭裁判所に申し立てて、相続財産清算人(旧:相続財産管理人)を選任してもらいます。選任された清算人は、被相続人の財産を管理し、債権者への弁済などを行います。
2. 相続人の捜索・公告
相続財産清算人の選任後、家庭裁判所は相続人を捜索するための公告を行います。2023年の民法改正により、公告期間は6か月に短縮されました。
3. 債権者・受遺者への弁済
公告期間中に申し出た債権者に対して弁済を行い、遺言による受遺者にも遺贈を履行します。
4. 特別縁故者への財産分与
相続人捜索の公告期間満了後3か月以内に、特別縁故者が家庭裁判所に財産分与の申立てをすることができます。
5. 残余財産の国庫帰属
特別縁故者への分与がなされなかった財産や、分与後に残った財産は、最終的に国庫に帰属します。
特別縁故者とは
特別縁故者とは、被相続人と特別の縁故があった人のことで、以下の3つの類型があります(民法958条の2)。
- 被相続人と生計を同じくしていた者:内縁の配偶者、事実上の養子など
- 被相続人の療養看護に努めた者:献身的に介護をしていた親族や知人など
- その他被相続人と特別の縁故があった者:上記に準じる関係にあった者
特別縁故者への分与が認められるかどうか、認められる場合の金額は、家庭裁判所が個々の事情を考慮して判断します。
おひとりさまが生前にできる準備
相続人がいない方は、以下の生前対策を検討されることをおすすめします。
- 遺言書の作成:お世話になった人や団体に財産を遺贈することができます
- 任意後見契約:判断能力が低下した場合に備えて後見人を指定しておきます
- 死後事務委任契約:葬儀、埋葬、各種届出などの死後の事務を第三者に委任します
- 生前贈与:生きているうちに財産を渡したい相手に贈与します
まとめ
相続人がいない場合、被相続人の財産は最終的に国のものになります。「自分の財産を特定の人に残したい」「お世話になった団体に寄付したい」とお考えの方は、元気なうちに遺言書を作成しておくことが大切です。